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インバウンドセミナー

After コロナ インバウンド復活のヒント

Afterコロナへのヒント

一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会 代表理事 事務局長
株式会社USPジャパン 代表取締役社長

新津 研一 氏

中国と台湾におけるSDGsに対する意識の現状

新津
蔵持さんは柳瀬さんのお話しをどのようにお聞きになられましたか。
蔵持
世代により格差が激しいというのを改めて実感しました。柳瀬さんに一つうかがいたいのですが、日本ではアパレルブランドやスポーツメーカーが、リサイクル商品を作るなどして、SDGsの取り組みを前面に押し出してプロモーションしています。中国や台湾のZ世代のSDGsに対する意識はいかがでしょうか。
柳瀬
欧米各国に比べると、中国の若い世代のSDGsに対する意識はまだ希薄だと思います。ただ、所得の違いによって差があり、若い世代でも海外留学経験がある人ではSDGsの感覚を持つ人もたくさんいます。台湾の場合はリテラシーが全体的に高く、中国よりはSDGsに関連したセミナーやセッションが多いという認識です。

サステナブル視点で日本が目指すべき国はどこか?

新津
柳瀬さんから蔵持さんへご質問はありますか。
柳瀬
日本の観光業界がサステナブルを取り入れていくというところで、ベンチマークないし目指している国、もしくはモデルになる国はあるのでしょうか。
蔵持
国レベルと政府観光局(JNTO)とでは、ベンチマーク、モデルとする国・地域に違いがあると思います。JNTOがベンチマークとしているのは、フィンランドやハワイ州政府観光局、ニュージーランド、オーストラリアといった意識が高い国・地域です。タイ政府観光局にも注目しています。ただ、これらの国・地域は日本とは人口規模が違うので、国レベルで考えると、どこを目指すべきかは悩ましいところです。フランスやドイツといった、サステナブル意識の高い国を念頭に取り組みを進めるべきといった話をしているところです。

日本人の目から見た中国コスメの実力は?

新津
ありがとうございます。視聴者の方からの質問もご紹介します。柳瀬さんにうかがいます。中国コスメの人気が高まっているというお話でしたが、日本人から見て中国コスメのクオリティや価格はどのように見えていますか。日本への進出を視野に入れる中国ブランドもありますが、どういうレベルにあるのでしょうか。
柳瀬
言葉を選ばずに言うと、中国ブランドはようやくスタートラインに立ったというイメージです。日本のプチプラコスメの方が圧倒的に上回っているというのが私の感想です。
新津
コスメやヘルスケア、トイレタリーを中心にデータを出していただきましたが、現地における日本の医薬品についての情報の入手経路はコスメと同様でしょうか。
柳瀬
そうですね。ただ、医薬品に関してはパブリックな情報よりも、もっとニッチでコアな情報、セグメントした情報、友達の情報の方がより信用性が高いというところが特徴的です。

日本人気は何に支えられているのか?

新津
コロナ禍からの国際観光の回復について蔵持さんにうかがいます。国境の水際対策の緩和、あるいは入国後の待機制限の緩和というのはよく分かりました。一方、航空便の回復についてはどのように見込まれていますか。
蔵持
国内線が復活することによって日本の航空業界はそれなりに復活してくるでしょう。今も細々と続けている国際線については、国内の戻りが非常に大事になってきます。外国に関してはLCCが廃業するなど国内より厳しい状況です。
新津
国内の観光の復活、あるいはビジネスの観光が先行して進むことが重要となりますね。東京、大阪、京都がワンツースリーフィニッシュで人気というのは嬉しい情報でした。蔵持さんの目から見て、この人気を支えている日本の力はどういったところにあるとお考えですか。
蔵持
一つは、これまでの地道な積み重ねだと思います。実際に日本を訪れた外国人による評価とSNSでの発信ですね。もう一つは、ラグビーのワールドカップやオリンピック・パラリンピックといった国際的な注目イベントをしっかりとやりきったということ。この2つが「旅行先として、やはり日本は良いらしい」という高い評価に繋がったのだと思います。

越境ECとインバウンドは両輪

新津
視聴者から「越境ECが普及した現在、インバウンドが復活しても日本に買いに来てくれるのか?」とのご質問があります。これについては私からお答えします。越境ECの事業者は「インバウンドが回復しないと越境ECの売り上げが上がらない」とおっしゃっています。インバウンドでどんどん人気商品が生まれてくる。それが越境ECで売れ、越境ECで売れるとインバウンドで復活する――こうしたサイクルがあり、「インバウンドと越境ECは両輪」とおっしゃる事業者がかなりいらっしゃいます。インバウンと越境ECの両方を回していかなくてはいけないということだと思います。

インバウンド復活に向けて何をすべきか?

新津
最後に今回の肝となる質問です。「インバウンド復活に向けて、今何をすればいいのか」というご質問があります。一言ずついただけますか。
柳瀬
あくまで中国・台湾の目線にはなりますが、まずは海外の現状をデータできちんと把握することがスタートだと思います。現状を把握した上で、どのような見せ方をして、どのような商品開発をしていくのか。今は宿題の時間、余裕がある時間と捉えて、開発に注力していただければと思います。
蔵持
旅行者が日本に来たいという気持ちはあるので、航空便が復活すれば、ある程度は来るはずです。国ごとに門戸が開放されてインバウンドが復活したときに、彼ら・彼女らの価値観に合致したものを提供できるかが大切でしょう。それはサステナブルなものかもしれませんし、柳瀬さんからのリポートにあった美味しいものかもしれません。変化に対応したサービスや商品を開発して欲しいですね。
新津
ありがとうございます。今はしっかりとデータを基に事実を捉えるということ。そして、韓国や中国国内のメーカーも攻勢をかけてきていますので、ここで手を休めないということが大切だと思います。お二方、そしてインバウンド研究会、プラネット様に改めてお礼を申し上げたいと思います。本日はありがとうございました。