ECが普及しても「日本で買いたい」理由とは
「インバウンド消費を拡大させる意識と行動 2026」を読み解く
2025年、訪日外国人旅行者数は約4268万人で史上最多を記録しました※。越境ECなど海外で日本製品を購入する手段は増えているにもかかわらず、日本でのショッピングは旅行目的の一つであり続けています。弊社では訪日客の動向を探る調査レポート「インバウンド消費を拡大させる意識と行動」を10年以上前から発行しています。本年3月に発行した最新版から、内容の一部をご紹介します。
※「日本政府観光局(JNTO)」2025年推計値より
ー 私がご紹介します ー

顧 維維
マーケティング&
イノベーションユニット
チーフプランナー
中国はSNS、タイ・ベトナムはEC・メーカーサイトが主な情報源
今回は、毎回調査している中国に加えて、国別訪日客数ランキングの上位で日系企業の進出も多いタイ・ベトナムの訪日経験者※を対象に調査を行いました。
現在はECやSNS、翻訳ツールなどの普及によって自国にいながら日本の情報を得る手段が増えています。そこで、日本訪問前と滞在中、どのようなところから日本製品の情報を得ているか尋ねました。
訪問前の情報入手経路としては、中国は1位が「SNS」、2位が「友人・知人からの情報」だったのに対し、タイとベトナムは「ECやメーカーのWebサイト」が1位となりました(図表1)。また、両国は「小売店の店頭」という回答も多く、国内に流通している日本製品を目にする機会が多いこともうかがえます。
ECサイトでは商品情報のほか、星の数やランキングなどもチェックできるので、人気商品やトレンドを知るきっかけになっていると想定されます。
※2024年10月~2026年1月に訪日経験1回以上の18~59歳男女
「日本に行って購入したい」理由は 小売店への信頼感や限定商品の存在
調査では、日用品、化粧品、医薬品の30カテゴリについて、それぞれ「日本に行って購入したい」「自国で購入したい/自国で購入してかまわない」「日本製品を購入したいと思わない」のいずれに当てはまるかを尋ねています。日本で購入したい1位は3か国とも「メイクアップ化粧品」で、回答者の6~7割が購入意欲を示しました。
自国でもECなどで日本製品を購入できる現在、日本旅行の際に買物をする動機はどこにあるのでしょうか。どんなきっかけや付加価値があれば日本で購入したくなるかも聞いてみました(図表2)。
結果は3か国とも「お店が信頼(安心)できる・扱っている商品が信用できること」が1 位。2 位は「豊富な品揃えの中から、サイズなど自分にぴったりのものを見つけられること」(中国)、「エリア限定・季節限定などの限定品があること」(タイ)、「日本国外やECでは取扱っていない商品があること」(ベトナム)となりました。
日本の小売店への信頼感に加え、日本でしか買えない商品があることも付加価値になっています。また化粧品や日用品は色、香り、使用感などがECでは分からない場合もあるため、実店舗で購入したい理由の一つになっていると考えられます。海外のユーザーに特徴や使用法が伝わりにくい商品は、店頭でPOPをつけて効用や利用シーンを説明すると効果的でしょう。
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