海に消えた野望 古の城壁に眠る情熱
沖縄の強い日差しの中、石垣が空に向かってそびえています。琉球王国時代の城跡(グスク)として世界遺産に登録された「勝連城跡」です。
15世紀、この地に阿麻和利という一人の男がいました。貧しい出自から知略で這い上がり、城の主となった人物です。彼は、中国や東南アジアと結びつく交易を進め、勝連を繁栄へと導きました。現代でいえば、既存の流通を飛び越えて市場を切り開く起業家のような存在だったのかもしれません。しかし、その突出した力はやがて首里王府との激しい対立を招き、反逆の罪を問われてその生涯を閉じました。
英雄か、逆賊か。歴史はどちらとも言い切らないまま、この場所だけを残しました。頂に立つと視界が一気に開け、風の中にその気配がふとよぎります。
なお、阿麻和利が脅かした首里王府の象徴である首里城では、2019年の火災からの復元工事が進み、2026年秋に正殿の完成が予定されています。かつての野望も、現在の復興も――琉球の長い物語は、今もこの空の下で静かに重なり合っています。

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基本情報
■分類:文化遺産 ■登録年:2000年 ■所在地:沖縄県に所在する9資産で構成
■アクセス(勝連城跡):那覇バスターミナルから沖縄バス52番(与勝線)で約1時間半、「勝連城跡前」バス停から徒歩すぐ
■最新の情報は以下よりご確認ください。
「琉球王国のグスク及び関連遺産群」沖縄観光情報WEBサイト https://www.okinawastory.jp/news/tourism/4064
「勝連城跡」公式HP https://dinkadunk.jimdoweb.com
監修・文 本田陽子
世界遺産ライター・解説者。60か国、200か所の世界遺産を訪問。世界中の文化や自然に触れた経験をもとに、各地の魅力や最新情報を伝えている。「絵本のようにめくる世界遺産の物語」(昭文社)監修、NHK出演など。

