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「話がつまらない」と思われてしまうことは、ビジネスの上でも大きなマイナスとなる。
「話がつまらない」をなくし、交渉やプレゼンテーション、会議、打ち合わせなどで 相手の心をつかむにはどうしたらよいか。
数々の人気番組の制作に携わってきた放送作家の野呂エイシロウ氏が、 「話が面白い」と思ってもらえるコミュニケーションの秘訣を紹介する。

野呂 エイシロウ(のろ・えいしろう) :
放送作家・戦略的PRコンサルタント

1967年愛知県生まれ。愛知工業大学卒。学生時代に「現役の学生」を武器に電機メーカー、広告代理店との会議に参加。その後、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家デビュー。
『ザ!鉄腕!DASH!!』などに携わり、テレビ局独特の〝笑い〟にあふれた会議で、話し方や雑談力、提案力を鍛えられる。放送作家としてのノウハウを生かし、30歳の時から〝戦略的PRコンサルタント〟として活動。『「話がつまらない」をなくす技術』(アスコム)など著書多数。

「面白い」を判断するのは相手 相手の興味や関心を考える

 自分では絶対に面白いと思っている鉄板ネタであっても、相手に話したら反応がイマイチだったり、かえって場がしらけてしまったという経験はないだろうか。その理由の多くは、話している相手は誰なのかを間違えていることにある。
 話が面白いか、面白くないかを判断するのは、あなたではなく相手なのだから、これは当然の反応といえるだろう。
 いくら自分が面白いと思っていても、相手にとって興味のない話なら、それは「面白くない話」になってしまうし、逆に事実を淡々と述べただけの話でも、相手が興味のあることなら、それは「面白い話」として受け取ってもらえる。
 つまり「話の面白い人」になるには、相手の興味のあることを話すことが大前提。そのためには相手をよく観察し、表情や相づちのリズムなどから「何を望んでいるのか」を考え、その望みや好み、性格などに合った話をする必要がある。

積極的に質問を投げかけ 相手から話を引き出す

 話す相手に「話の面白い人」と思ってもらえるにはどうしたらよいだろうか。その具体的な方法が図表1である。まず会話を始めるときは、何か話したいことがあっても、自分を主語にして話すのをやめ、「最近どう?」「今日はちょっと眠そうですね」などと、相手を主語にした質問を投げかけるようにする。答えが返ってきたら大袈裟にリアクションを取り、その話題で話を広げられれば、さらに質問を投げかける。もし話が続かないようなら、別の話題を振ってみる。相手の興きょうが乗ってくれば、会話はスムーズに流れ出し、相手にとって自分は「面白い人」になっているはずだ。
 相手からできるだけ話を引き出し、それに反応することを第一に考えよう。大切なのは場を和ませ、相手とのコミュニケーションを深めることにある。そのため、会話では相手にできるだけ話してもらうようにする。ビジネスにおいては、会話を通して相手の意見や考え方などが分かれば、交渉やプレゼンテーションを有利に進めることができる。

会う前に最新情報をリサーチ 会話のきっかけをつくる

 会話のきっかけとして天気の話をする人は多いが、「話の面白い人」は天気の話をしない。なぜなら「今日は暑いですね」と言われても「そうですね」としか返しようがなく、話が広がらないからだ。会話のきっかけは、それをフックに話題が広がる可能性のあるものが望ましい。そのためにも日頃から雑談のネタを仕込んでおくとよいだろう。
 打ち合わせに行く場合は、事前に相手先の会社や業界などの最新情報をインターネットなどで調べ、目にした情報の中からポジティブなものだけをピックアップし、さりげなくその話題を振ってみる。すると「実はあれは……」などと思わぬ内部事情を教えてくれるかもしれない。何より相手に「よく勉強しているな」という印象を与えることができる。
 打ち合わせ相手の好きなものをリサーチし、それに関する話題を会話に織り込むのも効果的だ。もし相手がインスタグラムなどのSNSをやっていれば、それをチェックするのが手っ取り早いが、普段から会話などを通じて、どんなものが好きなのかを探るようにするとよいだろう。
 例えば、重要な顧客が司馬遼太郎が好きだとわかれば、1冊でよいのであらかじめ読んでおき、「初めて読みましたが、面白かったです。次に何を読んだらいいですか」などと聞けば、熱心に教えてくれるはずだ。あとは「なるほど」「勉強になります」を繰り返すだけで会話は進んでいく。

日頃から雑談のネタを集め 自らの体験で話の糸口を作る

 相手に面白いと思ってもらえるネタはどうやって集めたらよいのだろうか。SNSなどをチェックしたり、AIを利用して情報収集するのもよいが、それより自分が感じた疑問や違和感をもとに探った話題の方が相手に面白いと思ってもらえる。
 そのトレーニング法として有効なのが、街に出て違和感を覚えるものを探し続けることだ。すると、「このビルはなぜこんな形をしているんだろう?」「あの格好をした人をよく見かけるが、流行っているのだろうか?」など、疑問を感じるさまざまなものが見つかるはずだ。もちろん答えの出ないものも多いが、明確な答えがなくても、オリジナリティある自分の体験を語った方が相手に興味を持ってもらえる。ただし、うんちくを語る場合は注意が必要だ。知識を一方的にひけらかすうんちくは、自己満足の象徴のようなもので、聞かされる側は迷惑なだけだが、語る際の秘訣さえ知っておけば、嫌味にならずに会話の中で生かすことができる。
 まず大前提として、必ず相手から先にうんちくを語ってもらうようにする。先に語ってもらうには、こちらからパスを出せばよい。例えば、接待の席でワインや日本酒を選ぶのであれば、その選択を任せ、「どうしてこの銘柄を選んだのですか」と聞く。もし相手にうんちくがあれば、積極的に語ってくれるだろう。あくまでも相手に気持ちよくうんちくを語らせるのが目的なので、すでに知っている内容であっても初めて聞いたように感心しながら聞くのがマナーだ。
 一方、自分のうんちくを語る際は、「不勉強ですが」「最近まで知らなかったのですが」などと前置きしてさわりだけを話し、相手に語れるうんちくがあれば、語ってもらうよう水を向けるようにするのがよいだろう。

相手の意見は否定せず むやみなアドバイスを避ける

 「話の面白い人」は、相手の意見や問いかけを即座に否定しない。それがどんな内容であっても、まずはきちんと聞いて受け止める。相手の意見に反論したい場合は、まず「そうですね」「なるほど」と相手の言葉を受け止めた後で、「でも私の場合は」「それも一理ありますが」と、できるだけへりくだって伝えることが重要だ。そうすれば、たとえ相手が間違っている場合でも、恥をかかせずに軌道修正してもらえる。
 こうした態度は仕事だけでなく、友人や家族との会話においても有効だ。日常会話では必ずしも結論を出す必要はない。最も分かりやすいのは、友人から悩みなどを相談された場合だ。聞かれもしないのに、「こうした方がいい」「こうすべきだ」などとアドバイスすると、かえって煙たがられる可能性がある。相手は単に同意を求めていただけかもしれないし、誰かに話してスッキリしたかっただけかもしれないからだ。どんな場合でも、相手から答えを求められない限り、黙って聞くことに徹したほうがよい。
 「この業界も値上げが続いて大変じゃないですか?」のように、質問調の言葉でいちいち同意を求めることも避けた方がよい。こうした話し方がまずいのは、本題に入る前に「そうでもないよ」「それは違うんじゃない?」などと反論されてしまうリスクがあることだ。本来、聞くべき必要のないところで反論されてしまうと、最悪の場合、会話がこれで終わってしまう危険性がある。

関係を円滑にする「魔法のキーワード」

 相手との会話をよりよいものにするためにぜひ使ってほしいのが、図表2に挙げた「魔法のキーワード」だ。同じ話をするにしても、例にあるような前振りをつけるだけで、相手に印象よく受け取ってもらえる。
 中でも、①の「ぶっちゃけ」「相談があるんですけど」は、相手の心を開く上で効果的なキーワードになる。日常生活でも使えるし、重要な打ち合わせや核心に迫る局面でも使える便利な言葉だ。
 しかし、よく似た言葉でも決して使ってはならないのが「ここだけの話ですが」「絶対内緒ですが」というフレーズ。その理由は、打ち合わせの場などで「ここだけの話ですが、A社では……」などと話し出すと、この人物は他社に行っても、自分たちの会社の秘密を「ここだけの話ですが」と言って言いふらしているに違いないと思われてしまうからだ。
 知識が豊富で有能な人であっても、伝え方がよくないせいで得意先や同僚とのコミュニケーションがうまくいかず、仕事の成果は上がらず、評価も下がってしまうケースがある。それは非常にもったいないことだと言える。そうした人がほんの少し伝え方を工夫するだけで、評価や印象、相手との関係性がガラリと変わってくる。相手とスムーズにコミュニケーションを取り、仕事をうまく進めるためにも、こうしたテクニックをぜひ使ってほしい。図表2のフレーズは、その第一歩としてすぐに実践できる“会話の道具"になるはずだ。