ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社では持続可能な物流を目指し、ロジスティクスEDIを活用した荷役業務の効率化に取り組んでいます。着荷主企業である株式会社PALTAC、株式会社あらたと共同で推進してきたドライバーの待機時間短縮、検品レス・伝票レスの実現に向けた事例を、同社カスタマーサービス ロジスティクスの宮口昌久氏と迫涼平氏にご講演いただきました。
ロジスティクスEDIを活用し
荷役業務の効率化を目指す
2023年に政府が出した物流革新に向けた一連の政策パッケージを受け、日用品メーカー14社は共同で自主行動計画を提出しました。そこには、ドライバーの拘束時間を段階的に削減し、2時間以内を目指すこと、その手段としてプラネットのロジスティクスEDIを活用し、特にASN(出荷予定データ)の導入によって荷役業務の効率化を目指すことなどが明記されています。その後、当社は2025年4月の物流効率化法の施行を受け、特定荷主として物流改革を実行する義務が生じました。特定荷主は積載効率の向上や荷待ち時間短縮の計画および定期的な結果の提出が求められます。
当社では出荷時の積み込み時間が1時間を超えるケースが約30%あり、着荷主側での荷下ろし時間も約20%が1時間を超えていました。こうした1時間を超えるドライバーの拘束時間を短縮するとともに、荷受け側の作業時間を削減するため、着荷主であるPALTAC様、あらた様と共同で物流改革に取り組んできました。
「半ミルフィーユ積み付け」で
ドライバー拘束時間を30分短縮
まず、段階的に進めているPALTAC様との取り組みをご紹介します。ステップ1は、2022年頃から展開している検品レスを目指した積み付け方法の工夫です。着荷主への納品後、外装箱GTINのスキャンと個数確認を行うため、ドライバーがパレット上の製品を積み替えることがあり、拘束時間が1時間を超える要因の一つになっていました。そこで、パレットを重ねてもどのSKUが何ケースあるかを確認できる「半ミルフィーユ積み付け」を推進しました。これにより、入荷時の積み替え作業がなくなり、1回の納品でドライバーの拘束時間を約30分短縮することができました。
ステップ2はASNの活用です。PALTAC様では2023年8月にRDC堺で最初に導入して以来、現在10拠点でASNを運用しています。また、車両ごとにどの商品がいくつ積載されているかまでを把握できるASN2.0の運用拡大も進めています。ASN2.0の活用は、さらなる入荷効率化を進めるカギとなります。車両ごとの入荷データを把握することで、入荷をスピーディーに確定し、バースを空けていただくことが、ドライバーの待機時間短縮につながるからです。こうしたASNの具体的な活用方法については、後述する取り組みの中で詳しくお伝えします。
バーコード検品を導入
入荷時の作業効率が大幅に向上
ステップ3では、製品納入後に別途発行したバーコードリストを活用した検品方法を導入し、格納作業の短縮を進めています。検品作業は次の2点のみです。①バーコードリストに抽出した外装箱GTINをスキャン、②バーコードリストに記載されている発注番号や数量などをもとにした入荷情報を入力。以上で検品は終了です。このバーコード検品によって従来の検品時に実施していた、数量の目視確認や納品伝票との照合、格納ラベルの貼付などが不要になり、入荷時の作業効率が大幅に向上しました。
PALTAC様の倉庫では、主に正パレットの商品が搬送される自動倉庫と、それ以外のパレットが投入されるMARS(マルス)と呼ばれるソーターがあります。このMARSにはGTINや入荷数量を読み取り、格納ラベルを自動的に貼付するといった、納品時に作業員が手で行っていた作業を代行する機能が備わっており、さらなる効率化に寄与しつつ、バーコードリストにより現物を確認せずに入力した仮の入荷情報の正誤を照合することも可能です。
バーコード検品では、入荷した現物は確認せず、リストの情報だけをチェックして入荷情報を確定します。そのため、納品数や発注番号など今まで人が目視で確認していた情報を事前にリストにまとめておく必要がありますが、このリストは近い将来、不要になると考えています。ASN2.0による出荷予定データの情報だけで入荷情報を仮確定できるようになれば、バーコードリストの情報を読み取る必要もなくなるからです。
このバーコード検品では数量を目視確認する必要がないため、出荷時にSKUなどが異なる製品を自在に積めるようになりました。これによりパレット枚数削減や荷物の安定性確保、ピッキング時の作業効率向上のほか、どの発荷主も本運用を適用できる標準化を図れました。
ASN2.0を活用した検品を実施
平均荷役時間が約30分に短縮
次にASNを使った物流効率化の事例を、あらた様との取り組みをもとにご紹介します。同社におけるASNの導入状況は、2024年4月のつくばセンターを皮切りに段階的に増えており、現在35拠点に拡大しています。そのうち29拠点に当社製品を納品しており、ASNのカバー率(納品ケース数換算)は70%を超えています。
現在は、車両ごとの積載情報が分かるASN2.0を活用したASN検品のテストを実施しています。従来のプロセスでは総個数検品がありましたが、これを廃止し、ASN2.0のデータとバースに下ろしたパレット枚数が一致すれば、ドライバーは受領印を受け取り、すぐに退出できる方式に変更しました。その後、荷受け側の作業員が納品された製品にASN2.0のデータをもとにした入庫格納ラベルを貼付すれば、検品は終了です。2025年4月半ばから6月まで、同社の越谷センターでこのASN検品をテストした結果、荷役時間は平均30分程度にまで短縮しました。この結果から、ASN2.0を導入しているすべての拠点にこの検品方法を導入すると、年間約300時間の荷役時間短縮が見込まれます。
ASNによって伝票レスを実現
導入企業が増えるほど成果は拡大
ASNのもう一つのメリットに、「伝票レス」があります。出荷予定データを事前送付することで、ドライバーが伝票を持参する必要がなくなり、紙の節減につながります。
当社では最初のステップとして完全なペーパーレスではなく、納品レポートと呼ぶ納品書鑑1枚だけを添付し、多くの紙を使用する伝票明細をなくすところからスタートしました。納品レポートの右上には4桁の番号とバーコードを記載し、そのどちらかを使ってASN2.0のデータを呼び出すことができます。伝票明細とパレット伝票をそれぞれ読むことができる二次元コードもついています。
ASN2.0のデータは自社で作成しています。まず当社の基幹システムからASN対象拠点の出荷データを抽出し物流事業者に送信します。物流事業者ではそのデータをもとに、どの車両にどの発注の荷物を載せたのか、1台ごとに4桁の番号を付与します。その後、当社に返信していただき、内容を確認後、プラネットのシステムにアップロードする仕組みです。
この方法では当社側の大幅なシステム改修は必要なく、ASN用の簡易ツールの開発のみで運用を開始することができました。今後、ASNを送信できるメーカーが増え、共配が可能になれば、一括したASNデータが必要になるため、物流事業者におけるASN2.0の直接送信にシフトしていくのが理想的です。ASNの活用は、導入企業が増えてこそ大きな成果が得られます。発荷側、着荷側双方における面の拡大が必要です。今後も当社では先行事例を積み上げ、ASNの導入を検討される各社の参入障壁を下げられるよう努力したいと思います。

