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ご利用のお客様の声

基幹EDI

“全社一丸“を具現化するシステム統合への軌跡

株式会社あらた

システム本部
統合システム部 部長

山田 英幸さん

システム本部
統合システム部 リーダー

神野 謙典さん

〒273−0024 千葉県船橋市海神町南1丁目1389番地
http://www.alfresa-hc.com
(PLANETvanvan 2012年秋号(Vol.96) 掲載記事より)※役職等は取材当時のものです。

企業合併の際、最も重要な経営課題となるのが、業務プロセスの統合である。各社、各部門が異なる仕組みや商習慣を持つ中で、いかにしてシステム統合を成功させるか。2004年4月から約1年半で新基幹システム「Genesis」を立ち上げ、業務の標準化と全社共通のサービス基盤を実現した株式会社あらたの事例から学んでみたい。

各社各様だった業務プロセスの違いを知ることからスタート

 2002年4月、大手日用品・化粧品卸売業のダイカ、伊藤伊、サンビックの3社が核となって、株式会社あらたが設立された。それに合わせて各社から20~30代の若手システム部員が集められ、システム統合に向けて勉強会が発足。当初は共同持株会社の形態で、各社が個別に事業を行っていたため、まずは第一次統合として、請求業務・支払業務を(株)あらたとして一本化するなど、お得意先との接点を優先してシステム統合を図った。
 そして2004年4月、設立当初の3社と徳倉が(株)あらたとして合併するのを機に、システム本部は新基幹システム「Genesis」を開発する第二次統合への挑戦をスタートした。
 「地域ナンバーワン卸を目指すという目標は同じでしたが、その業務プロセスやシステムは各社で異なり、それぞれに長年の思い入れがありました。そのため、あらたという一つの会社として、お得意先に提供するサービスレベルを全国共通、いわば金太郎飴のようにするには、我々が全社で統一された仕組みを開発するしかない、と強い覚悟で臨みました」と、システム本部統合システム部の神野謙典リーダーは語る。
 最初に取り組んだのは、互いの業務を一つ一つすり合わせて“違い”を洗い出す作業だった。その結果、在庫管理や売上計上のタイミングなど、137件の差分が判明した。そこで、差分に関わる部門から担当者が集まり、中立的な立場の外部コンサルタントも交え、各業務プロセスについて半年かけて徹底的に議論した。こうして137の差分を「137の統一事項」としたシステム統合計画が正式に会社から承認され、システム本部は2004年秋よりGenesisの本格的な開発に着手することになる。


全国共通のサービスレベルとお得意先への個別対応を両立

 Genesisのカットオーバーは、2005年10月と決められていた。しかし、お得意先向けプログラムは数千本にのぼり、約1年の開発期間でゼロからのシステム開発は時間的に不可能だった。そこで、基準となる既存システムを定め、それをベースに、137の統一事項を取り入れて開発することにした。このときに最も留意したのが、Genesisが新システムとして、全社員にスムーズに受け入れられることだった。
 このように、あらたとしての共通基盤の構築を進めつつ、地域やお得意先ごとに異なる商習慣については、お客様に迷惑をかけないことを大前提に、業務機能をパターン化し、お得意先にあわせて、そのバリエーションを増やしていった。
 一方で「仕入先のメーカー様対応は、合併した各社が既にプラネットのEDIを利用していましたので、システム開発の作業量は比較的少なくて済みました。プラネットという標準があったおかげで、お得意先様向けの開発に注力することができたのです」。
予定通り2005年10月、大分にてシステム統合を開始。その後、九州・中国エリアから順次、北海道・東北・関東・神奈川・甲信越エリア、四国エリア、中部エリアへと統合を拡大していった。たとえば納品時の荷姿一つとっても地域やお得意先によって異なるため、システムを動かして初めて問題が発覚することも多々あり、Genesisへの切り替えの都度、不眠不休で対応してシステムの変更・強化を図っていった。「お客様には絶対にご迷惑をかけられませんので、突発的な問題が発覚しても即時対応でシステム修正・開発を行い対応した事もありました」(神野氏)。
こうして当初計画したシステム統合を2009年9月に終え、一つの区切りを迎えた。


次世代卸の実現をシステムとして全力でサポート

 Genesisへのシステム統合の過程で数社との合併もあって、最大14拠点あったEDIの拠点数は、現在では3拠点に集約された。目標としていた全国共通のサービス基盤はほぼ整ったかたちだ。プロジェクトの責任者として指揮をとったシステム本部統合システム部の山田英幸部長は、成功要因を次のように語る。
 「最も大切にしたのは、現場の方々との意識のすり合わせでした。いきなり今日からシステム統合しますと言っても、現場は混乱するだけです。私たちは現場の方々と積極的にコミュニケーションを図ることで、単なるシステム統合ではなく、あらたとして一丸となってスタートするための業務統合なのだ、という意識を共有することに努めました」。
 Genesisの導入により、システム効率は大幅に向上し、システム部門の人員も統合作業のピーク時に比べ、20名ほどスリムになった。さらに、システム統合による最大の成果は、それまで見えていなかった現場の課題が見えるようになったことだ、と山田氏は指摘する。「問題点が見えてくれば現場で対応できます。それが結果的に、全社的な業務精度の向上と高いレベルでの維持につながっているのだと思います」(山田氏)。
 化粧品、トイレタリー、家庭紙、家庭用品、ペット用品という5大カテゴリーを取り扱うあらたは中期グループ構造改革の中で、今期の目標を「あらた ステージプラスワン」とし、次世代卸を目指すことを打ち出している。これは従来のようにメーカーから商品を仕入れて小売店へ販売するだけでなく、そこに新たな機能を付加してサービス提供していくという新しい戦略だ。それに先立ち、システム本部では2009年より「Genesis Next」という新たなプロジェクトを進めている。
 「会社が新しいことをするのを支える仕掛けを提供するのが、Genesis Nextの役目です。より営業に役立つデータウェアハウスの提供など、様々なかたちで、“次世代卸”の実現をサポートすべく、日々奮闘しています」(神野氏)。
 「今までは、システム部がつくる側、現場が使う側という線引きがありました。その一線を乗り越えて、今では現場とシステム部が一緒に考え、共同で会社に提案するという姿勢に変わりました。仕事を進めやすい環境が整った今、これからが私たちの本当のステージだと思っています」(山田氏)。
 最後にプラネットに対する要望を伺った。
 「メーカー・卸売業間の取引データ通信や商品情報の束ね役にとどまらず、コスト削減に向けた提案や、新たなトピックに関する情報交換に積極的なので助かっています。今後は私たち卸売業と、お得意先の小売業間でも同様の機能を果たしてもらい、サプライチェーン全体が効率化されることを期待したいですね」(山田氏、神野氏)。
 消費財流通を支える情報インフラストラクチャーの運営企業として、お客様のご要望をしっかりと受け止め、この先も社会の役に立つサービスを提供してゆきたい。


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