は じ め に 平素は多大なご支援とご協力を賜り心より感謝申し上げます。また、本書を手に取って下さったことを感謝申し上げます。本書は、日本のEDIの発展を願って作成したものでございます。ぜひ、皆様方のネットワーク化の一助として広くご活用頂きますようお願い申し上げます。 さて、最近の日本経済は、あらゆる面で問題が噴出しており、消費財流通業界では、消費者の低価格志向を背景に、価格低迷が構造的に定着してしまったかの様相を呈しています。このような経営環境にあって、流通業界の各企業は、独自の改善努力を日夜続けておりますが、各企業単独の努力だけでは自ずと限界があります。このことは、卸売業だけでなく、小売業も同様な状況にあるかと思われます。これを打破するためには、流通業界の各企業が連携して、新しい流通基盤を構築することが肝要かと存じます。 今日、そうした流通業界の新しい基盤をつくるには、何と言ってもEDIの統一化が欠かせません。最近のコンピューター技術の進歩は著しく、中でもデータ通信については目覚ましいものがありますが、こうしたテクノロジーを業界として取り入れ一層のローコスト化を図り、時代のニーズにマッチしたサプライチェーンを実現したいと、誰でも願っているのではないでしょうか。しかしながら、残念なことには、わが国では、流通業同志のデータ交換仕様の標準化が十分ではなく、合理的なコンピューターによる取引ができない状況にあります。そのため、このまま放置しておけば、個々の流通業者ごとの独自仕様が次々に開発され、小売業・卸売業・メーカーとも多大な重複投資を余儀なくさせられる恐れがあります。 そこで、全国化粧品日用品卸連合会では全国の業界の一層のローコストオペレーションを実現すべく、初版を1998年1月に策定いたし、当業界はもとより広く日本の流通業界に開示し、他業界の方々にも本仕様を利用してEDIを推進して頂くようお勧めしてまいりました。今回、実際に本仕様に基づくEDIを導入された事例をもとに、初版を加筆修正し、本書(初版改訂版(WES1.1))として発刊させて頂きました。今後も皆様の導入事例から不足しているデータ項目の追加および修正を行ない、より一層使い易い小売業・卸売業間のEDI「標準仕様」とすべく鋭意努力する所存でございます。 また新聞にて紹介されています実際の事例のように、当連合会メンバー卸を中心に、本仕様に基づいたEDIの導入事例作り、パソコン・サーバー上で稼働する本仕様対応の「WES仕様対応パッケージソフト」の開発、本仕様の導入提案時に利用できる「WES導入提案ツール集」のホームページ掲載等、普及促進活動を現在積極的に推進しているところでございます。
EDI仕様は、単なる事務的な書式を規定したものに過ぎず、情報格差が発生するなど戦略的意味合いがあるものではありません。さらに、本仕様は、来るべきダウンサイジング環境に適合したCSV形式や世界的なEDI標準(EDIFACT)などにも対応できるよう配慮するとともに、ユーザーのレベルに合わせた現実的対応も可能なように設計してございます。是非、これらの点をご理解の上、広く流通業界の方々にご利用頂くことを願っております。
全国化粧品日用品卸連合会 |