第5章 サプライチェーンとしての集約物流のあり方

5-1 消費者のメリット

 集約物流の是非がどちらであれ、これが最終的には消費者にメリットのあるものでなければならないことは言うまでもない。ここでは消費者のメリットについて述べる。
 消費者を少し拡大解釈して捉えてみると、それは社会全体であるともいえる。社会全体でのメリットがあればそれも消費者の利益になるというのが昨今の考え方である。たとえばその代表的なものが環境問題である。流通業界はトラックの台数を増やしているなどということも、こうした消費者を拡大解釈の延長線上に捉え、さまざまな団体から意見を述べられているわけである。
 今回の集約物流のシミュレーションは、その環境問題にも応える結果になるかもしれない。ひとつはトラック台数の削減である。また、倉庫が市街地から商工業団地などに移ることも考えれば、トラックの走行経路も改善されるといえよう。この点では社会に貢献できるのではないか。
 次に個人としてのいわば一般的消費者としての見方をする。消費者の望むことは第一に価格が安いということであるが、全ての商品に関して、それを販売する企業が赤字まで出して店が近くになくなってしまっても良いとは思っていない。つまり国中の店が1店を残して廃業になるなどということは望んでいないわけである。ということは一般的消費者にも適正利益配分のロジックはあるのだといえる。これは第一の低価格と同じ程度に利便性の追求が望まれているからこそいえることである。
 都心部での買物から駅前、そして住宅地付近の買物から通販(宅配)へと購買行動が変化し、それへの対応競争が行われていることでも証明されている。
 この報告書で検討されている中間流通の対象は、それらのあらゆる地点に最も合理的に商品をお届けすることが究極の目標であるが、その合理性のプロセスにおいては「最も安いコストで」という条件がつくのである。集約物流が最終結論であるとは断言できないが、当報告書は一つの仮説として、どこまで集約すれば物理的要因によるコスト削減が果たせるかをシミュレートしている。
 しかし消費者は競合の原則も常に追求している。競合は商品と商品、店と店、地域と地域そして国と国でも果たしていかなければいけない。その中で消費者は最も自分に良いと思われる商品を自由に選択したいのである。これについては第3章でも少し触れたが、現実的解答としては少なくともいくつかの比較(競争)を取り入れなければ満足は得られない。
(当報告書ではその競争力の設定は無視した為、競争のシミュレートはあえてしなかった。消費者のメリットを考える上でここで述べるだけにとどめた。)
 消費者はすべての同じ分類商品から(店が同一の場合も複数の場合もある)最も良いものを選べるようにして欲しいと思っている。つまり品揃えが中途半端では満足しないのである。
 こうしたことをまとめると、消費者にメリットを与えるとすると、「利便性の確保がなされた上で、いくつかの店であらゆる商品を比較し、最適な利益配分がなされた上で最も安く購買できること」であろう。