図表1-16 業界サプライチェーン・モデル(基本モデル)における総物流コストを最小化する中間物流拠点数の各地域別表示
 図表1-15に示す通り、第2章で示したモデルにおいて総物流コストの最小化する中間物流拠点数は、全国で114カ所、北海道6カ所、東北9カ所、北関東甲信越12カ所、首都圏29カ所、東海北陸16カ所、近畿18カ所、中国7カ所、四国4カ所、九州13カ所であった。この数値は、中間物流拠点の規模が敷地や出入庫するトラックの数が非現実的に大きくなりすぎないように、取扱金額250億円以下という制約を設けた場合である。中間物流拠点の規模に制約を設けない場合は、全国85カ所になる。
 
 生産地における出荷時点から店舗における荷受け時点までの総物流コストは、1270億円、卸売販売金額に対して4.61%である。内訳は、全国の生産地の出荷倉庫から消費地に所在する中間物流拠点までの輸送コストが519億円(40.9%)、中間物流拠点における荷役や在庫のコストが451億円(35.5%)、中間物流拠点から店舗までの配送コストが300億円(23.7%)である。
 
 地域別に見ると、北海道の総物流コストの卸売販売金額比率が、6.62%ともっとも高くなっている。次いで、九州(5.09%)、東北(5.02%)、四国(4.96%)、中国(4.79%)の順で全国平均物流コスト比率よりも高くなっている。物流コスト比率が最も低い地域は、近畿(4.18%)で、東海・北陸(4.28%)、首都圏(4.32%)、北関東甲信越(4.54%)がこれに次いでいる。
 北海道では、生産地からの距離が遠いため輸送の費用がかかること、中間物流
拠点あたりの配送エリアが13,902平方キロメートルと広いため配送の費用がかかること、中間物流拠点あたりの取扱い金額が208億円と少ないため荷役在庫の効率が落ちることが、物流コストが高水準になる理由である。
 九州、東北、四国、中国でも、生産地からの距離と配送エリアの広さが物流コストを高めている。
 近畿は、平均輸送距離が比較的短く、一拠点あたりの配送エリアが狭く、一拠点あたりの取扱い量が制限金額一杯であることから物流コストが最も低くなっている。東海北陸も、輸送距離が短く、配送エリアも全国平均以下で、拠点の取扱い金額も大きいが、本モデルでは、地理条件をいれていないので、ややコストが過小評価されている可能性がある。首都圏は、中間物流拠点数が29と多いので輸送距離が小さい割には輸送コストが低下しないが、拠点あたりの配送エリアは467平方キロメートルと狭いため配送コストの水準は全国一低い。北関東甲信越は、輸送距離は首都圏に次いで小さいが、配送エリアが広いために総コストが高くなる。(以上、図表1-15~1-25参照。)
 
 各エリア毎の物流コストと物流拠点数との相関関係については次ページ以下の通りである。